ICT教育の「わな」にはまってはいけない

学院長からのひとこと

― PISA2025が私たちに突きつけたもの ―

世界の15歳を対象にしたOECDの国際学力調査「PISA2025」で、日本の子どもたちは今回も世界トップクラスの学力を示しました。

しかし、順位だけを見て喜んではいられません。

前回2022年と比べると、

数学 536点 → 525点

読解 516点 → 503点

科学 547点 → 538点

と、日本も3分野すべてで低下しています。

それでも日本が世界トップクラスなのは、世界全体、とりわけOECD加盟国の学力低下がさらに深刻だからです。

OECD加盟国では2015年から2025年の10年間で、読解力が28点、数学が22点低下しました。

その背景の一つとして注目されているのが、スマートフォン、タブレット、SNSなど、デジタル機器との付き合い方です。

ICTそのものが悪いわけではありません。

問題は、

「ICTを使うこと」と「頭を使うこと」は同じではない

ということです。

短い動画を次々と見る。

分からなければすぐ検索する。

AIに聞けば数秒で答えが出てくる。

便利になればなるほど、

「じっくり読む」

「自分で考える」

「迷う」

「試行錯誤する」

「自分の言葉で説明する」

という時間が失われる危険があります。

PISAでも、文章を十分に吟味せず、急いで読んで間違える「hasty readers(性急な読み手)」の増加が指摘されています。

文字は読んでいる。しかし、深く読めていない。

これは見過ごせない問題です。

だからこそ、あすか会ではICTも活用しながら、昔から変わらない「学力の土台」を大切にしています。

約3,000冊の本を用意し、幼児期から読書習慣をつくる。

鉛筆を持って書く。

計算では答えだけでなく途中式を書く。

作文で自分の考えを言葉にする。

一度できて終わりではなく、ミラクルロードなどで繰り返し学習する。

幼児教育では、切る、貼る、折る、積むなど、実際に手を動かす。

そして行動観察では、友達と相談し、協力し、一つのものを完成させる。

一見すると、どれも昔ながらの教育です。

しかし、便利な時代になったからこそ、この「手間をかける教育」が重要になっていると考えています。

ICTもAIも使えばいい。

しかし、使われてはいけない。

タブレットを配れば教育が進歩するわけでも、AIを使えば賢くなるわけでもありません。

大切なのは、

「これは本当に子どもの頭を使わせているのか」

という視点です。

読む。

書く。

考える。

覚える。

繰り返す。

人と話す。

実際に手を動かす。

その土台をしっかりつくった上で、ICTやAIを「道具」として使いこなす。

便利な道具に「考えること」まで渡してはいけません。

AIがどれほど進歩しても、教育の主役は端末ではなく、子どもです。

ICTを使える子を育てる。

その前に、ICTがなくても自分の頭で考えられる子を育てる。

それが、あすか会が大切にしている教育です。

タイトルとURLをコピーしました