株で「一番儲かっているのは死人」──この格言が示す“投資の真理”とは?

ファイナンシャルプランナーとしての観点から

「株で一番儲かってかいるのは死人」

この言葉は、私が長らく国内証券会社、外資系証券会社にいたころ耳にしました。

実はこのアメリカの格言の裏側には投資リターンの本質が凝縮されています。

■ なぜ「死人」がもっとも儲かるのか?

理由は非常にシンプルです。

   •   売らない

   •   買わない

   •   余計な判断をしない

   •   感情に振り回されない

この4つが揃うのは、残念ながら“人間”には難しい。マーケットが下がれば怖くなって売り、上がれば欲をかいて買う。典型的な「高値掴み・安値売り」を繰り返し、結果としてリターンを削ってしまうわけです。

死人は感情がありません。

だから“放置”できます。

そして、放置こそ最強の投資戦略になり得るのです。

■ 長期投資の破壊力:アマゾンの例

アマゾン(Amazon)の株価推移は、長期投資の威力を語る上で外せません。

過去30年で株価は2,000倍以上。

もし10,000円を投じていたら、理屈上は約2,000万円。

冷静に言えば、ほぼ宝くじ級のリターンです。

問題は——

20,000,000円になるまで持っていられる人は、ほぼいない。

なぜか?

   •   中途半端な上昇で利益確定したくなる

   •   一時的な下落で不安になる

   •   ニュースやSNSの騒音に影響される

   •   「もっといい銘柄があるはずだ」と思い始める

つまり、人間の心理が最大の敵になります。

“死人”にはこの弱点がない。ただ黙って持ち続けるだけ。

結果、最強。

■ 18歳未満にまでNISA拡大で何が変わるのか?

日本でもNISA制度が拡充され、若年層の投資が加速します。

これは非常に良い流れですが、同時に“危うい”部分もある。

特に以下は要注意です。

   •   短期売買で成果を求めすぎる

   •   一時的な損失で投資をやめてしまう

   •   SNSの「投資インフルエンサー」を妄信する

   •   肝心の“投資の目的”が曖昧なまま参入する

NISAは長期投資を前提とした制度にもかかわらず、感情的な売買をしてしまっては、せっかくのメリットが霧散します。

制度が良くても、投資家自身が“持ち続ける力”を持てるかどうかで結果が全く変わるのです。

■ 投資リターンの大半は「市場に居続けた時間」で決まる

米国のデータでは、有名な研究結果があります。

20年間の株式市場のリターンは、

   •   市場にフル参加:年平均約7〜8%

   •   上昇した“たった10日間”を逃す:リターンほぼ半減

   •   20日逃す:マイナス圏に突入

つまり、ちょっとした下落で売ってしまうほど“高くつく”。

投資とは、地味な時間の積み上げがボディーブローのように効いてくる競技です。

■ “放置”は戦略であり、最も強いリスク管理

「放置」は無責任な行動ではありません。

むしろ、計画的に放置するのが合理的です。

   •   良質な銘柄選定

   •   分散投資

   •   長期保有

   •   手数料の最小化

   •   感情を排除した積立運用

これらを組み合わせて「何もせずに儲ける」仕組みを作る。

金融業界ではこれを**“システマティック・ディシプリン”**と呼びます。

要するに“自分の感情をシステムで封じ込める”ということ。

死人が最強なのは、偶然ではなく“必然”なのです。

■ まとめ:感情を捨てた者が市場を制す

株式投資で勝ち続ける人に共通しているのは、派手なセンスでも専門知識でもなく、

   •   何もしない勇気

   •   放置を貫く精神力

   •   短期の騒音を無視する冷静さ

この3つだけ。

人間はつい動きたくなる生き物です。

しかし、投資だけは動くほど損をするという皮肉な構造になっています。

囲碁でいう「シチョウ」に似ているところもあります。

「株で一番儲かっているのは死人」

これはブラックジョークに聞こえますが、投資の本質を突いた極めて正確な格言です。

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