もう、10月から早めの大学入試が始まっています。当教室でも合格者がでています。

近年、私立大学を中心に入試の実施時期が年内(たとえば10月~12月)へ前倒しされる例が増えています。大学側の募集戦略や選抜方式の多様化が背景にありますが、受験生や高校、家庭には見過ごせない影響が出ています。
問題点(1)高校教育との整合性不足
授業の進度、探究活動、部活動など高校側の年間計画と入試日程が衝突すると、高校教育の質や幅広い学びが犠牲になる恐れがあります。教育現場には再調整の負担が生じます。
問題点(2)公平性の懸念
模試・対策講座・個別指導の準備や、遠方での移動・宿泊といったコストは家庭によって差があります。入試早期化は、情報や資源にアクセスしやすい生徒とそうでない生徒の差を広げる可能性があります。
問題点(3)選抜の透明性と「青田買い」的評価
年内合格が増えることで、大学による早期的な選抜や囲い込みの印象が強まりかねません。選抜基準や併願ルールが明確でないと、受験生や保護者が適切に判断できなくなります。
現場でできる実務的対策
学校・塾は、主要な入試期間(10月~3月)を想定した年間スケジュールと具体的な併願プランを早めに提示する必要があります。大学に対しては、選抜基準や併願条件の明示を求める働きかけも重要です。
政策的な課題と提案
行政や大学団体は、一定の「入試カレンダー」や移行期間の枠組みを協議するべきです。また、地方会場の維持やオンライン選抜の整備、経済的支援策を講じて地域・経済格差を緩和する必要があります。日程変更は教育全体に影響するため、十分な周知と段階的移行が欠かせません。
結論
入試の前倒しは多様な選抜の利点をもたらす一方で、受験生の健康・学び・公平性に関わる課題を生じさせます。学校・塾・大学・行政が連携して透明性を高め、受験生を支える仕組みを早急に整えることが求められます。



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